snowdays

南八甲田、見参!(2023.5.3)

4月から久慈に単身赴任になり、是非実現したかったことの一つに南八甲田のテレマークツアーがある。

そもそも、南八甲田はおろか、青森県の山はツアーしたことがなかった。

宮城は栗駒山、秋田は鳥海山や森吉山など行っているのにだ。

理由は遠いからであって、わざわざそこまで出かけなくても、山容が似通った八幡平という存在が近くにあるからだ。

それでも、いつかは行ってみたいという憧れはあった。

それは、ステップソールのテレマークスキーにとって最適のエリアと言われているからだ。

 

残雪期の八甲田には行ったことがなく、雪がどのくらいあるのかや、駐車スペースはどうなのかとか、樹林帯の密度や滑るのに適したライン取りなど、分からないことばかりなので、半分偵察のつもりで、睡蓮沼を起点に、猿倉岳(1,353m)から駒ヶ峯(1,416m)をツアーすることにした。

 

天気も良く、朝日に輝く三陸の大海原を眺めながら、新緑とこの地域特産の天然アカマツに囲まれた三陸道を久慈ICから八戸南ICへ向かう。

同じ三陸道でも、宮古から大船渡までの区間は、海から離れていたりトンネルが多く、海は殆ど眺められないが、この区間はとても景色が良い。

久慈から八戸市内まで1時間弱で行くことができ、三陸道の開通は久慈在住のテレマーカーにとって、南八甲田を日帰り圏内にする革命的出来事だったと言ってよいだろう。しかも料金は無料だ。

八戸市内に入り、馬渕川を渡る辺りで、前方遠くに八甲田連峰が見え、ワクワクしてくる。

十和田市郊外から八甲田連峰を望む
(十和田市郊外から八甲田連峰を望む)

おいらせ町、六戸町を抜け、十和田市に入ると、目指す南八甲田の山々もハッキリ見えてくる。

国道102号の道の駅奥入瀬を過ぎた辺りで一旦ルートを外れ、ビューポイントを探す。

田植え前の田んぼの背景に、製図用の細いロットリングで輪郭を描いたような、繊細なアウトラインの八甲田連峰を確認する。

赤倉岳に乗鞍岳、そして今日これから登ろうとしている猿倉岳。

奥ゆかしい美しさとでも形容したくなるような、緩やかな稜線が特徴的な南八甲田の山々は、ここから見てもステップソールのテレマーカーにとって絶好の山だと感じる。

 

焼山から国道103号に入り蔦温泉を過ぎても林内に残雪はなかった。

ブナの若葉が展葉し始めたばかりで美しい景色ではあるけれど、少し不安になる。

残雪がつながっていないと、ツアーの難易度は高くなる。

谷地温泉への分岐を過ぎて、ようやく所々に雪が見られるようになり、猿倉温泉への分岐から先で少しずつ雪山らしくなってきた。

睡蓮沼まで来ると残雪は十分ではあったが、一部で湿原が顔を出し始めており、今年の場合、ツアーの適期は5月の第1週までという感じがした。

路側の駐車帯がちょうど1台分空いていたので、そこに車を止めて身支度を整える。

今日は、BLACK DIAMONDのSynchro XとASOLO EXTREAMのいわゆる細板革靴の組み合わせで、引っ越し時点から久慈に待機させてチャンスを窺っていたので、ようやく陽の目を見た格好だ。

駐車地点から猿倉岳に方向を定め、直線的に登って行く。

樹林帯はさほど濃くなく、常に猿倉岳が見えているので、コンパスを頼りにすることもなかった。

標高1,140mまで登ると背後の視界が開けて、硫黄岳、大岳、井戸岳、小岳、高田大岳などの山々が眼前に、そして遠くには陸奥湾も望めた。

小腹が空いてきたのでここで休憩を挟む。

睡蓮沼湿原からツアー開始。背後のピークが猿倉岳
(睡蓮沼湿原からツアー開始。背後のピークが猿倉岳)
標高1,140m付近での小休止。八甲田連峰の眺めが良い。
(標高1,140m付近での小休止。八甲田連峰の眺めが良い。)

再び登山を開始し、傾斜が緩くなるとともにアオモリトドマツがまばらに、そして背丈が低くなり稜線部分に到達したことを知るが、そこからの歩きが思いのほか長かった。

しかし、稜線を乗越し、突如現れた景色に息を飲んだ。

無立木、丁度良い傾斜、スケール感、どれをとっても過去最高と言って良いような美味しい斜面だ。

地形図で湿地帯として着色されたエリアがそれだ。

斜面の先に続く乗鞍岳の大きな姿がとても印象的で、そちらにも良さそうな斜面がいたる所にあり、先客のシュプールがはっきりと確認できる。

この斜面を下まで滑り切り、そこから猿倉岳まで斜めに登り返す。ステップソールなら楽に登れる斜度だ。

 

猿倉岳の山頂は最高地点ではなく、「櫛ヶ峯コース231」と書かれた古いツアー標識を過ぎて少し下がったところにあるようで、山頂を示すものは何も確認できなかったが、10人ぐらいの登山者がいて、ここが山頂だと教えてくれた。

山頂の東側は鋭く切れ落ち、残雪にもクラックが口を開けていて危険だ。眼下には矢櫃萢が丸く姿を現していた。

山頂というより単なる尾根で、狭いし人も多いので、すぐに引き返し、先ほどの湿地帯をもう一滑りして、滑り切ったところで昼食にする。

今日は風が割と強いが、ここならアオモリトドマツに遮られて落ち着くことができる。

しかも他に登山者もなく静かだ。

猿倉岳稜線付近の疎林帯
(猿倉岳稜線付近の疎林帯)
稜線から乗鞍岳へと広がる好ピステが出現
(稜線から乗鞍岳へと広がる好ピステが出現)
好ピステを滑り切って振り返る
(好ピステを滑り切って振り返る)
猿倉岳山頂手前の古いツアー標識
(猿倉岳山頂手前の古いツアー標識)
猿倉岳山頂、らしい
(猿倉岳山頂、らしい)
山頂から赤倉岳や矢櫃萢を望む
(山頂から赤倉岳や矢櫃萢を望む)
好ピステを滑り降りたところで乗鞍岳を眺めながらお弁当
(好ピステを滑り降りたところで乗鞍岳を眺めながらお弁当)

昼食を済ませたら、櫛ケ峯へ続く稜線の南側を駒ヶ峯の手前の鞍部までトラバース気味に登り返す。

この鞍部にも、先ほどの湿地帯と同じような好ピステが黄瀬川源流方向に広がっており、ここは帰りに滑ることにする。

駒ヶ峯は形の良い小ピークで、目立たないけれど山頂を示す標識もあった。

ここからは何といっても櫛ヶ峯(1,516m)の眺めが素晴らしい。

南八甲田の主峰にふさわしい大きさがあり、均整の取れた稜線を広げる姿は気品のようなものを感じさせる。僕にとって、外輪山から森吉山を見た時のような、そんな印象的な山岳景観の一つになった。

櫛ヶ峯まで行きたい気持ちを抑え、今日はここから睡蓮沼に戻る。

周囲を見渡せば、乗鞍岳が猿倉岳から眺めた時とは全く違う印象で大きく望め、麓に黄瀬沼の大きな湿原が確認できた。

遠くに目をやれば、これから帰る八戸市街や太平洋、階上岳も見渡せる。

 

駒ヶ峯の東稜線を滑り降り、鞍部から南東に広がるピステを滑り降りたら、駒ヶ峯と猿倉岳の間の小ピークの東肩をめがけて斜めに登り返す。

稜線に出たら前方に硫黄岳や大岳が並んで見えるので、それを目印に方向を定めて、アオモリトドマツの疎林帯を緩やかに下る。

標高1,250m地点まで下ると傾斜が変わり、傘松峠と睡蓮沼の中間点ぐらいに続く小尾根の上部に出る。この辺りからは方向を高田大岳に定め、滑りやすそうな部分を選びながら下る。

やがて睡蓮沼湿原に到達し初めての南八甲田ツアーを無事に終えることができた。

今シーズンの板納めは、しばらくはこの余韻に浸ることが出来そうな、素晴らしい山旅になった。

櫛ヶ峯や乗鞍岳など、来シーズンへの夢も得ることができた南八甲田の山々に感謝!

駒ヶ峯を目指してトラバース気味に登る
(駒ヶ峯を目指してトラバース気味に登る)
駒ヶ峯山頂の控えめな標識
(駒ヶ峯山頂の控えめな標識)
駒ヶ峯から櫛ヶ峯を望む
(駒ヶ峯から櫛ヶ峯を望む)
下山中、標高1,250m付近から現れる斜面
(下山中、標高1,250m付近から現れる斜面)
コメント: 37
  • #37

    ウエブマスター (木曜日, 22 7月 2021 15:34)

    昔の列車旅は、移動中も面白味がありました。駅にも「名所案内」の看板があり、駅名表示の下にも「●●郡●●村」とか書いてあるのが好きでした。

  • #36

    白州丸 (土曜日, 17 7月 2021 15:24)

    宮城〜岩手〜秋田〜青森と東北縦横断の旅堪能しました。沿線の温泉に入りたい!
    画像加工いいですね!!

  • #35

    ウエブマスター (金曜日, 16 7月 2021 23:49)

    私が描いたと言いたいところですが、撮った写真を加工したんですよー
    でも、文字は女流書家 泉に依頼したものです!

  • #34

    白州丸 (水曜日, 14 7月 2021 16:46)

    産業と共に生きた雫駅の歴史が分かります。駅舎のスケッチも良いですが因みに誰のタッチ?

  • #33

    ウエブマスター (土曜日, 13 3月 2021 11:08)

    徳永さん、了解しました!
    ウエブマスターまでメールいただければ地図を返信いたします!

  • #32

    徳永光保 (金曜日, 12 3月 2021 07:33)

    前山の記事 拝見しました。
    西和賀方面にこの時期にいけるところを探していたので興味があります。だいたい見当はつくのですが
    もしよろしかったらルートの地図をいただけないでしょうか。よろしくお願いします。

  • #31

    ウエブマスター (日曜日, 28 2月 2021 17:38)

    chanmikiさん
    いらっしゃいませ!
    コメントありがとうございます。
    日付は更新日でモナドノックは20日にツアーしました。
    慣れていないと迷うと思うので、メールいただければ私の地図を送りますよ!

  • #30

    ウエブマスター (日曜日, 28 2月 2021 17:28)

    白州丸さん
    長いことコメントに気付かずスミマセン
    東京は大変ですよね。
    ワカサギを食べさせてあげれないのが残念です。
    大願成就の次の回、長女と岩洞湖に行きましたが、またしても大漁でした!
    岩手は恵まれてますよ!

  • #29

    chanmiki (火曜日, 23 2月 2021 21:07)

    初めてコメントします。同じ小学校区、同じピアノ教室だったTです。
    数年前からこのブログを見つけて、感動!尊敬!たくさん学ばせて頂いています。
    本日23日も、「岩神山から田代牧場へ」を真似っこしようと行ったのですが、雪が少なそうで止め、区界駅2番ホームからの牧野へ行こうかとホームまで行きました。迷って結局、桐の木沢山へ行ったのですが、「モナドノック」を見てびっくり!
    でも本日23日じゃないですよね?天気から。
    私も単身赴任で106号を使っていたので、北上高地の、しかも地形のプロの記事、とても興味深く読んでいます。もちろん地元雫石のもです!

  • #28

    白州丸 (土曜日, 09 1月 2021 21:04)

    コロナ禍で気づく事も多く、人と接せず作業をする一次産業やステイホームで地元を考える機会も多苦なりそれが新しい日常と気づくかもしれません。地元愛と働く人に感謝¡¡

  • #27

    白州丸 (月曜日, 28 12月 2020 11:11)

    コロナ禍で始まったこの1年、地表ををすっかり覆ってしまう新雪はしばし巷のゴタゴタも忘れさせてくれます。

  • #26

    白州丸 (木曜日, 10 10月 2019 16:45)

    馬愛の結晶でしょうね!優しい表情が印象的です。

  • #25

    ウエブマスター (火曜日, 30 4月 2019 11:10)

    徳永様
    お久しぶりです!
    コメント有難うございます!
    丸森良かったですねー
    雪もたっぷりで何よりでした。
    そろそろクマさんがウロウロしているようです。先日大松倉で足跡を見ました。お互いに気を付けましょう!
    いつか、ウロコでご一緒したいです!

  • #24

    徳永光保 (日曜日, 21 4月 2019 20:05)

    以前 森林鉄道のツアーでお世話になりました徳永です。本日こちらで紹介されている丸森にうろこテレマークで行ってきました。雪もたっぷり残っていてブナの原生林の雰囲気もよく大変気に入りました。情報参考にさせていただきました。ありがとうございました。

  • #23

    ウエブマスター (日曜日, 22 4月 2018 19:07)

    家の前の桜はまだですが、盛岡はすでに満開。テレマークはこれからが良い季節ですよ!

  • #22

    白州丸 (日曜日, 15 4月 2018 15:59)

    今シーズンのテレマークもそろそろ終わり?桜も咲き始めましたあ?

  • #21

    ウエブマスター (土曜日, 07 5月 2016 12:18)

    白州丸さま
    宮古では恒例のuno大会も盛り上がりました!
    旧道歩きは発見があって楽しいですね!

  • #20

    白州丸 (木曜日, 05 5月 2016 16:03)

    1泊2日の宮古の充実した旅でしたね。女性3名を従え賑やかで大きな天候の崩れも無く良かったです。

  • #19

    白州丸 (日曜日, 06 3月 2016 10:50)

    親子の協力、ほのぼのとして少ない成果でも美味しさがギュット詰まっている事でしょう。

  • #18

    ウエブマスター (日曜日, 10 1月 2016 11:41)

    白州丸さま
    ジムニーで薪運搬!
    こういうのって、田舎暮らしならではの楽しさですね!

  • #17

    白州丸 (土曜日, 09 1月 2016 14:13)

    有り難いプレゼント、ジムニー大活躍ですね!!

  • #16

    白州丸 (土曜日, 26 9月 2015 17:10)

    手を加えた分だけ建物は答えてくれます、又達成感は喜びになるでしょう。

  • #15

    白州丸 (土曜日, 26 9月 2015)

    父と娘の縦走、紅葉が綺麗ですね、山ガールも頑張りましたね!!

  • #14

    白州丸 (土曜日, 15 8月 2015 15:52)

    見事に蘇りました、15年の歴史がしみ込んだテーブル作業中はいろんな思いも浮かんだ事でしょう。我が家は削って(多分電動鉋?)もらいましたが手作業はご苦労様でした。又新しい家族の歴史(汚れ?)が刻まれる事でしょう。帰ってきた家族もさぞびっくり!!

  • #13

    白州丸 (火曜日, 30 6月 2015 10:19)

    テーブル完成おめでとうございます。ここ迄秋田杉を利用できれば樹も喜んでいる事でしょう。無垢板は存在感ありますね!!このテーブルからどんな作品が出来るか楽しみですね

  • #12

    ウエブマスター (日曜日, 17 5月 2015 12:24)

    リタイヤじっちゃん様
    丸森制覇、おめでとうございます!私はタイミングを逃し、今年は行けず残念でしたが、動画を拝見させていただき、行った気になれました!それにしてもクマにはビックリ!!

  • #11

    リタイヤじっちゃん (火曜日, 12 5月 2015 09:27)

    ウエブマスターの丸森ツアー(2013.5.12)でアクセスルートを知ったのは昨年の夏ごろ、それから5月の連休が待ち遠しく長いものでした。途中熊さんの歓迎を受けましたが、楽しく登ることができました。情報ありがとうございました。来冬は須賀倉を頂戴します。(山行記録YouTube”丸森”)

  • #10

    ウエブマスター (水曜日, 29 4月 2015 07:49)

    史実探偵さま、コメント有難うございます。なるほど!奥が深そうですねー。

  • #9

    史実探偵:平素人 (日曜日, 26 4月 2015 00:02)

    はじめまして^^、ウエブ釜石鉱山で検索訪問しました。ホームのお写真を見て、これが私の広報する、『BC.2001年に地球を半周し東北へ降臨した巨大隕石の核!』 かと思うと胸のたかまりを覚えます。よろしかったら、myブログのカテゴリー;巨大隕石(5) &, 巨大津波(4)へ、どうぞ^^!

  • #8

    小岩 (日曜日, 05 10月 2014 14:24)

    シロハヤブサの続編に期待・・豊かな発想に拍手を送ります。

  • #7

    小岩じいじ (日曜日, 05 10月 2014 14:16)

    岩手の旅行記は風景写真の見事さと臨場感あふれる文章にいつも感心しています。次号を楽しみにしています。

  • #6

    小岩 (日曜日, 05 10月 2014 14:06)

    泉ちゃん堂々の3位入賞おめでとう。又1つ話題ができましたね。来年は優勝目指して下さい。

  • #5

    リタイヤじっちゃん (日曜日, 05 10月 2014 10:09)

    体力的に門馬コースは無理ですが、教えていただいた丸森には挑戦させて頂きます。尚、剣ヶ峰山行記録はyouTubeで公開してますがどなたとも知らず貴方の車ときのこ採りの3人には無料出演して頂いでおりますのであしからず。但し誰も見ませんが。(笑)

  • #4

    ウェブマスター (日曜日, 05 10月 2014 00:06)

    いやはや!
    ニアミスしていたわけですね、リタイヤじっちゃん様!やはり早池峰剣ヶ峰、いい山ですよねー!
    今度は、門馬コースにも久々にチャレンジしたいと思っています!

  • #3

    リタイヤじっちゃん  (水曜日, 01 10月 2014 18:16)

    久しぶりに覗いて見てびっくりしました。9月15日早池峰剣ヶ峰で好青年と交差したことを覚えております。あの時の白髪親父がじっちゃんです。初めて登りましたがいい山でした。

  • #2

    ウェブマスター (土曜日, 07 6月 2014 22:03)

    ritzさん、コメント有難うございます!
    阿部館山良かったですよ!来年も絶対行きます!その時お会いするかもしれませんね!今後ともこの隠れ家的HPをよろしくお願い致します!

  • #1

    ritz (火曜日, 03 6月 2014 00:16)

    はじめまして。
    4/13阿部館山の記事拝見しました。素晴らしいところですね。
    4月頭に櫃取湿原や青松葉山界隈を歩き(滑り)、斜面や森の雰囲気に感動しました。北上高地は初めて訪れましたが、また行ってみたいと思っています。
    これからも岩手の山滑りの記録、楽しみにしています。