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岩神山から兜明神嶽へ(2012.3.10)

まったりとした山容で樹林帯で覆われた山並みを連ねる北上高地

おそらく日本国内でこのような重畳たる景観は他になく、だからこそ、唯一「高地」という呼称が用いられているのだと思う。

我が家から東に目をやれば、そんな北上高地の峰々を望むことができる。

早池峰山、兜明神嶽、岩神山、阿部館山、御大堂山

その名前からして、どれも歴史とロマンを秘めた山々だ。

 

その中の兜明神嶽に登ることにした。

この山に登るのは何と14年ぶり。

実は当初は御大堂山に登るつもりだったのだけれど、朝の時点で天気が今一つだったので、「無理はしない」ということで、同じ北上高地でも初心者向けの兜明神嶽(1,005m)に急遽変更したのだった。

14年前に登った時は、僕にとって初めての厳冬期のテレマークスキーツアーだったので、とても由緒ある山だ。

そんな兜明神嶽を13年間もおそろかにしていたのは、とても申し訳ない気がしてきた。

国道106号区界から兜明神嶽を望む
(国道106号区界から兜明神嶽を望む)

初心者向けの山だけれど、装備は万端でツェルトやシール、GPSも持って出掛ける。

板と靴は、14年前と同じ、MADSHUSのステップソールに革靴(ASOLOエクストリーム)だ。

北上高地特有のなだらかな山なので、ダブルキャンバーのステップソールが最適だ。

 

スタート地点は区界高原のウォーキングセンターで、トイレがてら中に立ち寄る。

クロカン道具のレンタルもしているようだが、客の気配はなく、フィールドは素晴らしいのに残念な気がする。

地形図はもちろん持ってきているけれど、ここにおいてあった地図をもらう。

その地図を見て、兜明神嶽のすぐ北隣に岩神山(1,103m)があることを思い出した。

というのも、僕が持ってきた2万5千分の一地形図では、兜明神嶽は一番上にぎりぎりで入っていて岩神山は載っていなかったからだ。

この際、まだ登ったことのない岩神山まで足を延ばそうと、急にモチベーションが高まる。

ツアーの拠点となる区界高原ウォーキングセンター
(ツアーの拠点となる区界高原ウォーキングセンター)

シールを付けなくても、ステップソールは良く雪を噛んだ。

それどころか、湿った雪はソールに付着して重いぐらいだった。

見晴山まで上がると、兜明神嶽の特徴ある岩峰が間近に望まれた。

眼下には区界高原の牧野が広がり、どこもステップソールの細板で遊ぶのにはもってこいな感じだ。

 

スキーツアー用の標識はないけれど、コースにはテープが巻いてあるので迷うことはない。

標識を整備して、林内を間伐してあげれば、山も良くなるし、初心者でも楽しめるバックカントリースキーエリアとして、冬季の集客が大いに期待できると思うのだけれど・・・

ここ区界高原は、内陸部からも沿岸部からもアクセスが良いので、ロケーション的にも最高だ。

見晴山から兜明神嶽を望む
(見晴山から兜明神嶽を望む)

見晴山を過ぎ、鞍部まで下り、そこからは岩神山を目指し、林間コースを進む。

この辺り、ステップソールのスキーは良く走る。

湧水のある兜清水を過ぎ、まもなく「馬っこ広場」と名付けられた雪原に出る。

ここで岩神山の全貌が望める。

兜明神嶽と異なり顕著なピークを持たない岩神山は、そればかりか送電線や電波塔が立ち並び、それはそれで目立つのだけれど、何だか可哀想な山だ。

 

地形図では急そうに見える岩神山への登りも、ステップソールはいともたやすく登る。

稜線に出るとカラマツ林が広がり、霧氷が美しかった。

そして山頂付近の鉄塔広場に到着した。

電波塔の奥に、ちょっとした岩場があり、そこが本当の山頂だと気づく。

遠くからでは目立たない岩場だけれど、この山の由来となる由緒ある岩に違いない。

霧氷したカラマツ林が美しい。シラカバの巨木も印象的な岩神山稜線
(霧氷したカラマツ林が美しい。シラカバの巨木も印象的な岩神山稜線)
岩神山山頂の岩場
(岩神山山頂の岩場)

もともと岩神山には登る予定でなく、その分時間も押しているので、山頂の岩場には登らずにここで昼食をとり引き返そうかと思ったけれど、せっかくなので、スキーをデポして岩場に取りついた。

スケールの小さな岩場だけれど、雪がある分、ちょっとスリリングで楽しい。

そしてその岩場の頂上に立って、眼下に広がる絶景に息を飲んだ。

 

眼下には美しく霧氷をまとった樹木が、正面には広大な北上高地の山々が広がっていた。

青松葉山から高森、阿部館山、さらには御大堂山まで、北上高地の核心部とも言える山々の絶景を目の当たりにし、特に阿部館山の雄大な様は、山麓からは確認しがたい山だけに印象的だった。

ここからの眺望では鉄塔群も目に入らず、山頂にいることを実感できる。

岩場の頂上まで登って大正解だった。

岩神山山頂からの絶景  奥に阿部館山や御大堂山を望む
(岩神山山頂からの絶景  奥に阿部館山や御大堂山を望む)
岩神山山頂直下の岩小屋で昼食
(岩神山山頂直下の岩小屋で昼食)

眺望を存分に楽しんだ後は、山頂岩場の下部にある岩小屋風の場所で昼食にする。

風を遮れるので休憩するにはちょうど良い。

昼食後はいよいよ滑降だ。

来た道をあっという間に馬っこ広場まで戻り、兜山荘方向に進路を変える。

兜山荘の広場からは、兜明神嶽の岩峰が呼応の距離だ。

岩峰の手前でスキーをデポし、岩場に取りつく。

先ほどの岩神山といい、こういう岩登りもスキーツアーのアクセントになって楽しい。

幸い岩場の氷も解けていて、無事に山頂を極めることができた。

山頂からは、姫神山やそれまでは雲に隠れていた桐ノ木沢山も望まれた。

兜明神嶽山頂の岩場
(兜明神嶽山頂の岩場)
兜明神嶽山頂から桐ノ木沢山を望む
(兜明神嶽山頂から桐ノ木沢山を望む)
兜明神嶽山頂から岩神山を振り返る
(兜明神嶽山頂から岩神山を振り返る)
兜明神嶽山頂の石祠
(兜明神嶽山頂の石祠)

無事に兜明神嶽登頂を果たしたあとは、いよいよお楽しみの旧区界スキー場の大滑降だ。

固く締ったバーンの上に、薄っすらと新雪が積もった斜面は、ほとんど荒らされた形跡もなく、気持ち良くテレマークターンをつなぐ。

ときどき立ち止まっては、バージンスノーに刻んだ自分のシュプールを振り返る。

施設も整って、これだけ手軽にバックカントリースキーを楽しめるフィールドは他にないだろう。

もっとここを訪れるテレマーカーが増えてもいいのにもったいないと思いながら、貸切の斜面を楽しみ、朝出発したウォーキングセンターに到着した。

 

【コースタイム】

登山口(ウォーキングセンター)から見晴山経由で岩神山まで  1時間45分

岩神山から兜明神嶽、旧区界スキー場経由で登山口まで  1時間

 

ルート図
(ルート図)

(上の背景地図データは国土地理院の電子国土Webシステムから配信されたものである。)

コメント: 37
  • #37

    ウエブマスター (木曜日, 22 7月 2021 15:34)

    昔の列車旅は、移動中も面白味がありました。駅にも「名所案内」の看板があり、駅名表示の下にも「●●郡●●村」とか書いてあるのが好きでした。

  • #36

    白州丸 (土曜日, 17 7月 2021 15:24)

    宮城〜岩手〜秋田〜青森と東北縦横断の旅堪能しました。沿線の温泉に入りたい!
    画像加工いいですね!!

  • #35

    ウエブマスター (金曜日, 16 7月 2021 23:49)

    私が描いたと言いたいところですが、撮った写真を加工したんですよー
    でも、文字は女流書家 泉に依頼したものです!

  • #34

    白州丸 (水曜日, 14 7月 2021 16:46)

    産業と共に生きた雫駅の歴史が分かります。駅舎のスケッチも良いですが因みに誰のタッチ?

  • #33

    ウエブマスター (土曜日, 13 3月 2021 11:08)

    徳永さん、了解しました!
    ウエブマスターまでメールいただければ地図を返信いたします!

  • #32

    徳永光保 (金曜日, 12 3月 2021 07:33)

    前山の記事 拝見しました。
    西和賀方面にこの時期にいけるところを探していたので興味があります。だいたい見当はつくのですが
    もしよろしかったらルートの地図をいただけないでしょうか。よろしくお願いします。

  • #31

    ウエブマスター (日曜日, 28 2月 2021 17:38)

    chanmikiさん
    いらっしゃいませ!
    コメントありがとうございます。
    日付は更新日でモナドノックは20日にツアーしました。
    慣れていないと迷うと思うので、メールいただければ私の地図を送りますよ!

  • #30

    ウエブマスター (日曜日, 28 2月 2021 17:28)

    白州丸さん
    長いことコメントに気付かずスミマセン
    東京は大変ですよね。
    ワカサギを食べさせてあげれないのが残念です。
    大願成就の次の回、長女と岩洞湖に行きましたが、またしても大漁でした!
    岩手は恵まれてますよ!

  • #29

    chanmiki (火曜日, 23 2月 2021 21:07)

    初めてコメントします。同じ小学校区、同じピアノ教室だったTです。
    数年前からこのブログを見つけて、感動!尊敬!たくさん学ばせて頂いています。
    本日23日も、「岩神山から田代牧場へ」を真似っこしようと行ったのですが、雪が少なそうで止め、区界駅2番ホームからの牧野へ行こうかとホームまで行きました。迷って結局、桐の木沢山へ行ったのですが、「モナドノック」を見てびっくり!
    でも本日23日じゃないですよね?天気から。
    私も単身赴任で106号を使っていたので、北上高地の、しかも地形のプロの記事、とても興味深く読んでいます。もちろん地元雫石のもです!

  • #28

    白州丸 (土曜日, 09 1月 2021 21:04)

    コロナ禍で気づく事も多く、人と接せず作業をする一次産業やステイホームで地元を考える機会も多苦なりそれが新しい日常と気づくかもしれません。地元愛と働く人に感謝¡¡

  • #27

    白州丸 (月曜日, 28 12月 2020 11:11)

    コロナ禍で始まったこの1年、地表ををすっかり覆ってしまう新雪はしばし巷のゴタゴタも忘れさせてくれます。

  • #26

    白州丸 (木曜日, 10 10月 2019 16:45)

    馬愛の結晶でしょうね!優しい表情が印象的です。

  • #25

    ウエブマスター (火曜日, 30 4月 2019 11:10)

    徳永様
    お久しぶりです!
    コメント有難うございます!
    丸森良かったですねー
    雪もたっぷりで何よりでした。
    そろそろクマさんがウロウロしているようです。先日大松倉で足跡を見ました。お互いに気を付けましょう!
    いつか、ウロコでご一緒したいです!

  • #24

    徳永光保 (日曜日, 21 4月 2019 20:05)

    以前 森林鉄道のツアーでお世話になりました徳永です。本日こちらで紹介されている丸森にうろこテレマークで行ってきました。雪もたっぷり残っていてブナの原生林の雰囲気もよく大変気に入りました。情報参考にさせていただきました。ありがとうございました。

  • #23

    ウエブマスター (日曜日, 22 4月 2018 19:07)

    家の前の桜はまだですが、盛岡はすでに満開。テレマークはこれからが良い季節ですよ!

  • #22

    白州丸 (日曜日, 15 4月 2018 15:59)

    今シーズンのテレマークもそろそろ終わり?桜も咲き始めましたあ?

  • #21

    ウエブマスター (土曜日, 07 5月 2016 12:18)

    白州丸さま
    宮古では恒例のuno大会も盛り上がりました!
    旧道歩きは発見があって楽しいですね!

  • #20

    白州丸 (木曜日, 05 5月 2016 16:03)

    1泊2日の宮古の充実した旅でしたね。女性3名を従え賑やかで大きな天候の崩れも無く良かったです。

  • #19

    白州丸 (日曜日, 06 3月 2016 10:50)

    親子の協力、ほのぼのとして少ない成果でも美味しさがギュット詰まっている事でしょう。

  • #18

    ウエブマスター (日曜日, 10 1月 2016 11:41)

    白州丸さま
    ジムニーで薪運搬!
    こういうのって、田舎暮らしならではの楽しさですね!

  • #17

    白州丸 (土曜日, 09 1月 2016 14:13)

    有り難いプレゼント、ジムニー大活躍ですね!!

  • #16

    白州丸 (土曜日, 26 9月 2015 17:10)

    手を加えた分だけ建物は答えてくれます、又達成感は喜びになるでしょう。

  • #15

    白州丸 (土曜日, 26 9月 2015)

    父と娘の縦走、紅葉が綺麗ですね、山ガールも頑張りましたね!!

  • #14

    白州丸 (土曜日, 15 8月 2015 15:52)

    見事に蘇りました、15年の歴史がしみ込んだテーブル作業中はいろんな思いも浮かんだ事でしょう。我が家は削って(多分電動鉋?)もらいましたが手作業はご苦労様でした。又新しい家族の歴史(汚れ?)が刻まれる事でしょう。帰ってきた家族もさぞびっくり!!

  • #13

    白州丸 (火曜日, 30 6月 2015 10:19)

    テーブル完成おめでとうございます。ここ迄秋田杉を利用できれば樹も喜んでいる事でしょう。無垢板は存在感ありますね!!このテーブルからどんな作品が出来るか楽しみですね

  • #12

    ウエブマスター (日曜日, 17 5月 2015 12:24)

    リタイヤじっちゃん様
    丸森制覇、おめでとうございます!私はタイミングを逃し、今年は行けず残念でしたが、動画を拝見させていただき、行った気になれました!それにしてもクマにはビックリ!!

  • #11

    リタイヤじっちゃん (火曜日, 12 5月 2015 09:27)

    ウエブマスターの丸森ツアー(2013.5.12)でアクセスルートを知ったのは昨年の夏ごろ、それから5月の連休が待ち遠しく長いものでした。途中熊さんの歓迎を受けましたが、楽しく登ることができました。情報ありがとうございました。来冬は須賀倉を頂戴します。(山行記録YouTube”丸森”)

  • #10

    ウエブマスター (水曜日, 29 4月 2015 07:49)

    史実探偵さま、コメント有難うございます。なるほど!奥が深そうですねー。

  • #9

    史実探偵:平素人 (日曜日, 26 4月 2015 00:02)

    はじめまして^^、ウエブ釜石鉱山で検索訪問しました。ホームのお写真を見て、これが私の広報する、『BC.2001年に地球を半周し東北へ降臨した巨大隕石の核!』 かと思うと胸のたかまりを覚えます。よろしかったら、myブログのカテゴリー;巨大隕石(5) &, 巨大津波(4)へ、どうぞ^^!

  • #8

    小岩 (日曜日, 05 10月 2014 14:24)

    シロハヤブサの続編に期待・・豊かな発想に拍手を送ります。

  • #7

    小岩じいじ (日曜日, 05 10月 2014 14:16)

    岩手の旅行記は風景写真の見事さと臨場感あふれる文章にいつも感心しています。次号を楽しみにしています。

  • #6

    小岩 (日曜日, 05 10月 2014 14:06)

    泉ちゃん堂々の3位入賞おめでとう。又1つ話題ができましたね。来年は優勝目指して下さい。

  • #5

    リタイヤじっちゃん (日曜日, 05 10月 2014 10:09)

    体力的に門馬コースは無理ですが、教えていただいた丸森には挑戦させて頂きます。尚、剣ヶ峰山行記録はyouTubeで公開してますがどなたとも知らず貴方の車ときのこ採りの3人には無料出演して頂いでおりますのであしからず。但し誰も見ませんが。(笑)

  • #4

    ウェブマスター (日曜日, 05 10月 2014 00:06)

    いやはや!
    ニアミスしていたわけですね、リタイヤじっちゃん様!やはり早池峰剣ヶ峰、いい山ですよねー!
    今度は、門馬コースにも久々にチャレンジしたいと思っています!

  • #3

    リタイヤじっちゃん  (水曜日, 01 10月 2014 18:16)

    久しぶりに覗いて見てびっくりしました。9月15日早池峰剣ヶ峰で好青年と交差したことを覚えております。あの時の白髪親父がじっちゃんです。初めて登りましたがいい山でした。

  • #2

    ウェブマスター (土曜日, 07 6月 2014 22:03)

    ritzさん、コメント有難うございます!
    阿部館山良かったですよ!来年も絶対行きます!その時お会いするかもしれませんね!今後ともこの隠れ家的HPをよろしくお願い致します!

  • #1

    ritz (火曜日, 03 6月 2014 00:16)

    はじめまして。
    4/13阿部館山の記事拝見しました。素晴らしいところですね。
    4月頭に櫃取湿原や青松葉山界隈を歩き(滑り)、斜面や森の雰囲気に感動しました。北上高地は初めて訪れましたが、また行ってみたいと思っています。
    これからも岩手の山滑りの記録、楽しみにしています。